【SQL & データベース入門】データの正規化と非正規化の違い|効率的なデータベース設計のポイント

データの正規化とは何か?

正規化の概要

正規化とは、データベースの冗長性を減らし、データの一貫性や整合性を保つために、データを適切に分割し整理するプロセスです。正規化を行うことで、データの重複を防ぎ、効率的なデータの管理と操作が可能になります。

正規化が必要な理由

  • データの重複を減らすことで、ストレージの無駄遣いを防ぐ。
  • データの一貫性を保ち、更新時の不整合を防ぐ。
  • データ検索や更新のパフォーマンスを向上させる。

正規化の各段階(正規形)

正規化は段階的に進められ、それぞれの段階に応じてデータの構造が整理されます。一般的な正規形には以下のものがあります。

第一正規形(1NF)

すべての列が原子値(1つの値)を持つことが条件です。複数の値を1つのセルに格納してはいけません。

実例

顧客ID名前電話番号
1田中太郎080-1234-5678, 090-8765-4321

上記のように、複数の電話番号が1つのセルに格納されている場合、第一正規形を満たしていません。正規化すると次のようになります:

顧客ID名前電話番号
1田中太郎080-1234-5678
1田中太郎090-8765-4321

第二正規形(2NF)

すべての非キー属性が主キーに完全に従属していることが条件です。部分的な従属関係がある場合は正規化する必要があります。

実例

商品ID注文ID商品名注文日
11001パソコン2025-01-15
21001マウス2025-01-15

この場合、商品名が注文IDに依存するように見えますが、実際には商品IDによって特定されるべきです。そのため、次のように2つのテーブルに分割します:

注文テーブル

注文ID注文日
10012025-01-15

商品テーブル

商品ID商品名
1パソコン
2マウス

注文詳細テーブル

注文ID商品ID
10011
10012

第三正規形(3NF)

すべての非キー属性が主キーに直接従属していることが条件です。非キー属性が他の非キー属性に依存している場合は正規化します。

実例

社員ID部署名部署所在地
1営業部東京
2技術部大阪

この場合、部署名から部署所在地が決定されるため、非キー属性間の依存関係があります。正規化後は次のようになります:

社員テーブル

社員ID部署ID
1101
2102

部署テーブル

部署ID部署名部署所在地
101営業部東京
102技術部大阪

データの非正規化とは何か?

非正規化の概要

非正規化とは、正規化されたデータベースの設計をあえて元に戻し、冗長性を意図的に導入することです。これにより、データの読み取り速度を向上させるなど、パフォーマンスの最適化を図ることができます。

非正規化が必要な理由

  • 複数のテーブルに分割されたデータを結合する際のコストが高い場合。
  • データの読み取り頻度が高く、パフォーマンスが重要なシステム。
  • 大量のJOIN操作が必要な場合。

非正規化の例

正規化された2つのテーブルを非正規化して1つに統合する例です。

正規化された状態 社員テーブル

社員ID部署ID
1101
2102

部署テーブル

部署ID部署名部署所在地
101営業部東京
102技術部大阪

非正規化後の状態

社員ID部署名部署所在地
1営業部東京
2技術部大阪

このように非正規化すると、社員情報と部署情報を取得する際にJOIN操作が不要になり、パフォーマンスが向上する場合があります。

正規化と非正規化のメリットとデメリット

正規化のメリット

  • データの重複を減らし、ストレージの効率を最適化できる。
  • データの更新や削除が容易で、不整合が発生しにくい。
  • データの一貫性が保たれる。

正規化のデメリット

  • クエリが複雑になり、パフォーマンスが低下する可能性がある。
  • 複数のテーブルをJOINする必要があり、読み取り速度が遅くなることがある。

非正規化のメリット

  • データの読み取り速度が向上する。
  • 複雑なJOIN操作を回避できる。

非正規化のデメリット

  • データの重複が増え、ストレージの消費量が増加する。
  • 更新時に複数箇所のデータを変更する必要があり、不整合のリスクが高まる。

正規化と非正規化の使い分け

正規化を優先すべき場合

  • データの一貫性が重要なシステム(例:銀行の取引データ、在庫管理システム)。
  • 更新や削除が頻繁に行われる場合。

非正規化を優先すべき場合

  • 読み取り速度がパフォーマンスの鍵となるシステム(例:ECサイト、データウェアハウス)。
  • 大規模なデータを効率的に読み取る必要がある場合。

まとめ

データの正規化と非正規化は、それぞれ異なる目的に応じて使い分けるべき重要なデータベース設計の概念です。正規化はデータの重複を減らし、一貫性を確保するために有効ですが、パフォーマンスが重要な場合には非正規化を検討する必要があります。システムの要件やパフォーマンスの要素を考慮しながら、最適な設計を行いましょう。