Kotlinのシールドクラス（Sealed Class）を活用したエラーハンドリング【Kotlin入門⑰】

シールドクラス（Sealed Class）とは？
1. シールドクラスの概要
シールドクラスを使ったエラーハンドリング
1. when 式との組み合わせ
2. 実践例：APIレスポンスのエラーハンドリング
シールドインターフェース（Sealed Interface）
シールドクラス vs. Enumクラス
まとめ

シールドクラス（Sealed Class）とは？

シールドクラスの概要

シールドクラス（Sealed Class）とは、Kotlinにおいてクラスの継承を制限し、特定のサブクラスのみを許可するクラスのことです。これは、分岐処理やエラーハンドリングなどの用途でよく使用されます。

シールドクラスの特徴

同じファイル内でのみ継承が可能
クラスの種類を制限できるため、安全な型チェックが可能
when 式と組み合わせることで、明示的なエラーハンドリングが可能

sealed class Result {
    class Success(val data: String) : Result()
    class Error(val message: String) : Result()
}

シールドクラスを使ったエラーハンドリング

when 式との組み合わせ

シールドクラスを使用すると、when 式による型チェックが安全に行えます。

fun handleResult(result: Result) {
    when (result) {
        is Result.Success -> println("成功: ${result.data}")
        is Result.Error -> println("エラー: ${result.message}")
    }
}

Kotlinでは、シールドクラスを when で評価する際にすべての可能性を網羅していれば、else 分岐が不要になります。これにより、コードの安全性と可読性が向上します。

実践例：APIレスポンスのエラーハンドリング

シールドクラスを使うと、APIのレスポンスを分岐しやすくなります。

sealed class ApiResponse<out T> {
    data class Success<T>(val data: T) : ApiResponse<T>()
    data class Error(val message: String) : ApiResponse<Nothing>()
    object Loading : ApiResponse<Nothing>()
}

fun fetchData(): ApiResponse<String> {
    return try {
        val data = "APIからのデータ" // 実際はネットワーク処理
        ApiResponse.Success(data)
    } catch (e: Exception) {
        ApiResponse.Error("データ取得に失敗: ${e.message}")
    }
}

fun main() {
    val response = fetchData()
    when (response) {
        is ApiResponse.Success -> println("データ取得成功: ${response.data}")
        is ApiResponse.Error -> println("エラー: ${response.message}")
        ApiResponse.Loading -> println("データ取得中...")
    }
}

シールドインターフェース（Sealed Interface）

Kotlin 1.5 以降では、シールドインターフェース（sealed interface）もサポートされています。これにより、より柔軟な設計が可能になります。

sealed interface NetworkResult

class Success(val data: String) : NetworkResult
class Failure(val error: String) : NetworkResult

fun handleNetworkResult(result: NetworkResult) {
    when (result) {
        is Success -> println("成功: ${result.data}")
        is Failure -> println("エラー: ${result.error}")
    }
}

シールドクラス vs. Enumクラス

比較項目	シールドクラス	Enumクラス
継承可能性	可能（複数の型を持てる）	不可能（固定値のみ）
データの保持	コンストラクタを持てる	固定値のみ保持
`when` との相性	`else` 不要	`else` 不要
拡張性	高い（サブクラス追加可能）	低い（列挙値のみ）