AWS Lambdaの基礎とサーバーレス活用【AWS入門9】

AWS Lambdaとは?

AWS Lambdaの概要

AWS Lambdaは、AWSが提供するサーバーレスコンピューティングサービスであり、サーバーの管理を行わずにコードを実行できる環境を提供します。従来のサーバーベースの運用と異なり、Lambdaではイベント駆動型のアーキテクチャを採用し、リソースの最適化とコスト削減が可能です。

AWS Lambdaの特徴

  • サーバーレス:インフラの管理不要でコード実行が可能
  • イベント駆動:特定のイベントが発生した際に自動実行
  • スケーラビリティ:リクエストの増減に応じて自動スケール
  • 従量課金制:コードが実行された時間とリクエスト数に基づいて料金が発生
  • 多言語対応:Python、Node.js、Java、Goなどの複数のプログラミング言語に対応

AWS Lambdaの基本概念

Lambda関数

Lambdaの基本単位は「関数」であり、以下の要素から構成されます。

  • コード:実行されるプログラム
  • イベントトリガー:Lambda関数を起動するイベント
  • リソース設定:メモリや実行時間の設定
  • 実行ロール:AWSリソースへのアクセス権を定義するIAMロール

イベントソース

Lambda関数は、AWSのさまざまなサービスと連携し、特定のイベントが発生した際に実行されます。

  • API Gateway:REST APIのバックエンド処理
  • S3:オブジェクトの作成・削除時のイベント
  • DynamoDB:データの追加・変更時
  • CloudWatch:スケジュール実行
  • SNS/SQS:メッセージングによる非同期実行

実行環境

Lambdaは、AWSが管理するコンテナ環境で実行されます。各関数は個別のインスタンスとして起動し、並列処理が可能です。処理が終了するとリソースは解放され、必要なときに新しいインスタンスが作成されます。

AWS Lambdaの作成方法

1. AWS Lambdaのセットアップ

  1. AWSマネジメントコンソールにログイン
  2. 「Lambda」サービスを開く
  3. 「関数の作成」をクリック
  4. 「一から作成」オプションを選択
  5. 関数名を入力(例:MyFirstLambda)
  6. ランタイム(Python、Node.jsなど)を選択
  7. 実行ロールを選択(IAMロールの作成も可能)
  8. 「作成」ボタンをクリック

2. Lambda関数のコード編集

Lambda関数のコードはAWSコンソール上で直接編集できます。

import json

def lambda_handler(event, context):
    return {
        'statusCode': 200,
        'body': json.dumps('Hello from Lambda!')
    }

3. テストイベントの設定と実行

  1. 「テスト」ボタンをクリック
  2. テストイベントの名前を入力(例:TestEvent)
  3. JSON形式のテストデータを入力
  4. 「作成」→「実行」をクリック

AWS Lambdaの活用方法

1. APIのバックエンドとして活用

AWS API Gatewayと連携させることで、LambdaをREST APIのバックエンドとして利用できます。

  1. API Gatewayで新しいAPIを作成
  2. エンドポイントをLambda関数に関連付け
  3. リクエストが発生するとLambda関数が実行
  4. レスポンスをAPI Gateway経由でクライアントに返す

2. S3と連携したデータ処理

S3バケットにファイルがアップロードされた際に、自動的にLambda関数をトリガーしてデータ処理を行うことができます。

  1. S3バケットを作成
  2. Lambda関数を作成し、S3イベントをトリガーに設定
  3. ファイルがアップロードされたら自動で処理を実行

3. 定期実行タスクの自動化

CloudWatch Eventsを使用することで、定期的にLambda関数を実行し、タスクを自動化できます。

  1. CloudWatchで新しいルールを作成
  2. スケジュール(cron形式)を設定
  3. ターゲットにLambda関数を設定
  4. 定期実行が可能に

AWS Lambdaのベストプラクティス

1. コールドスタートの最適化

Lambda関数は初回実行時にコンテナの準備時間がかかるため、以下の方法で最適化できます。

  • 小さなパッケージサイズを維持
  • 適切なメモリ設定を行う
  • VPCを必要としない環境ではVPC設定を無効化

2. ロギングとモニタリング

CloudWatch Logsを利用して、Lambda関数のログを記録し、トラブルシューティングを行います。

  • ログの有効化
  • エラーハンドリングの実装
  • メトリクスを監視し、異常を検知

3. コスト最適化

Lambdaは従量課金制のため、無駄なコストを削減する工夫が必要です。

  • 不要な実行時間を削減(コード最適化)
  • リクエスト数を最小限に抑える
  • 環境変数を活用して設定管理

まとめ

AWS Lambdaは、サーバーレスアーキテクチャの中心的なサービスであり、APIバックエンド、データ処理、定期実行など多様なユースケースに対応可能です。本記事では、

  • Lambdaの基本概念
  • 関数の作成方法
  • 活用事例
  • ベストプラクティス を解説しました。