拡張関数とエクステンションプロパティを活用してコードを最適化【Kotlin入門⑨】

拡張関数とは？
1. 拡張関数の概要
拡張関数の詳細
エクステンションプロパティとは？
1. エクステンションプロパティの概要
2. エクステンションプロパティの制約
拡張関数とエクステンションプロパティの活用例
まとめ

拡張関数とは？

拡張関数の概要

Kotlinの拡張関数（Extension Functions）は、既存のクラスを変更せずに新しいメソッドを追加できる強力な機能です。通常、クラスのメソッドを追加するには、そのクラスを直接編集する必要がありますが、拡張関数を使用すれば、オープンクローズド原則を守りつつ、柔軟に機能を追加できます。

fun String.addExclamation(): String {
    return this + "!"
}

fun main() {
    val message = "Hello Kotlin"
    println(message.addExclamation()) // 出力: Hello Kotlin!
}

この例では、String クラスに addExclamation という関数を拡張しています。元の String クラスを変更することなく、新しいメソッドが追加されたかのように使えます。

拡張関数の詳細

既存クラスの拡張

拡張関数を使えば、Kotlinの標準ライブラリのクラスや、自分で作成したクラスを拡張できます。

fun Int.isEven(): Boolean {
    return this % 2 == 0
}

fun main() {
    println(4.isEven())  // 出力: true
    println(7.isEven())  // 出力: false
}

このように、Int 型に isEven() という新しいメソッドを追加することで、直感的にコードを記述できます。

拡張関数のスコープ

拡張関数は、特定のスコープ内で定義することも可能です。

class User(val name: String)

fun User.greet() {
    println("Hello, $name!")
}

fun main() {
    val user = User("Alice")
    user.greet()  // 出力: Hello, Alice!
}

拡張関数のオーバーライド制限

拡張関数は、既存のクラスのメソッドをオーバーライドすることはできません。

open class Animal {
    fun sound() {
        println("Some sound")
    }
}

fun Animal.sound() {
    println("New sound")
}

fun main() {
    val animal = Animal()
    animal.sound()  // 出力: Some sound （元のメソッドが呼ばれる）
}

このように、拡張関数はクラスのメソッドを置き換えることはできません。オーバーライドが必要な場合は、継承を使用する必要があります。

エクステンションプロパティとは？

エクステンションプロパティの概要

エクステンションプロパティ（Extension Properties）を使用すると、既存のクラスに新しいプロパティを追加できます。

val String.firstChar: Char
    get() = this[0]

fun main() {
    val text = "Kotlin"
    println(text.firstChar)  // 出力: K
}

この例では、String クラスに firstChar という新しいプロパティを追加しています。

エクステンションプロパティの制約

エクステンションプロパティは、状態を保持することができません。

var String.newProperty: String
    get() = "This is a new property"
    set(value) {} // エラー: バッキングフィールドを持てない

エクステンションプロパティは val のみを使用するか、ゲッターを定義する必要があります。

拡張関数とエクステンションプロパティの活用例

文字列操作を便利にする拡張関数

fun String.capitalizeWords(): String {
    return this.split(" ").joinToString(" ") { it.capitalize() }
}

fun main() {
    val sentence = "hello kotlin world"
    println(sentence.capitalizeWords())  // 出力: Hello Kotlin World
}

コレクション操作を簡単にする拡張関数

fun List<Int>.sumOfSquares(): Int {
    return this.sumOf { it * it }
}

fun main() {
    val numbers = listOf(1, 2, 3, 4)
    println(numbers.sumOfSquares())  // 出力: 30
}

クラスの拡張を活用したユーティリティ関数

class User(val name: String, val age: Int)

fun User.isAdult(): Boolean {
    return age >= 18
}

fun main() {
    val user = User("Bob", 20)
    println(user.isAdult())  // 出力: true
}